分かりにくい文章をプロに添削指導してもらったお話【例文あり】
こんにちは、まつぼ(@matsubojob)です。
物語や作文を書くとき、気を付けていることはありますか?以前の私は思いついたままに書いていて「一文が長いな…」「いらない描写が多いな…」と、まとまりがない文章になりがちでした。
まとまりがない=分かりにくい!なので、早急に改善が必要です。
今回は、そんな分かりにくい文章をプロに添削指導してもらった際のお話をまとめました。大学時代に書いた私の拙い文章とともに、分かりやすくお伝えしていきます。がんばるぞ!
まずは当時書いた文章を見よう(BEFORE)
大学のゼミで書いた文章です。テーマは「一番初めにみた風景」400字以内。
私の一番古い記憶の中の風景は、当時住んでいた家の庭である。それは松の木が二本生えていて、芝生の庭だった。灯のつかない古風な庭園灯も印象的である。幼少時はそこが私の「世界」であり、すべてだった。四季を巡ると様々な種類の花が咲き、学校を風邪で休むと、日中縁側に座って学校のチャイムを聴きながらしばしそれを眺めていた。「病気の体なのにまったく」と、よく母や祖母に叱られたものである。
先ほど少し、松の木について話した。それは私が生まれる数十年前から存在していて、半年に一回程度、約三日間かけて植木屋さんが手入れをしてくれるという年間通しての恒例行事があった。物心付いたときから植木屋さんが訪れていたのは知っていたので、この光景も私にとって「一番初めに見た風景」の一部である。また、私の周りでは、植木屋さんを呼ぶのが少し珍しく、「特別」なことに感じていた当時の私にとってちょっとした自慢であったのは余談である。(400字)
ここで教授に指摘されたのは下記のこと。(某大手新聞社の編集長を経験されている方でした)
問題点1:最初の書き出し
さっそく出鼻くじかれてます。(笑)
「与えたテーマをそのまま書き出しに使ってどうする!」
「400字という制限があるんだ、ここで字数を使うべきではない」
「テーマは読み進めていくうちに、読み手に想像させるもの」
大体このようなことを教えてくれました。とってもわかりやすかったです。
確かにもう最初の一文であんまり読む気が起きませんよね。ぬるっと始まっているなと感じます。こういったコラムのような文章は、はじめからテーマ=答えを言うとキャッチーさがありません。
霧がかかった森に踏み入れたように感じさせましょう。「なんだなんだ?」と気になるように。
読書感想文でもここを気を付けると賞がとれる可能性が格段に上がります。是非お子様にお伝えください。
問題点2:一文が長い
「私、私・・・主語が多くて読み手の気が散る!」
「状況描写を具体的に書きすぎ。こんなのわからなくていいんだ!」
ここは汎用性高いコツになると思います。
さっきの書き出しに通じますが、テーマで「一番初めに見た風景」と言われてるんだからわざわざ「私の~」「私は~」と言わなくても主語は誰かって伝わるんですよね。
要所要所に入れがちだと思うので、これを削るだけでだいぶ文章がすっきりします。字数も節約できるので、絶対気を付けることかなと思います。
状況描写に関しては目から鱗でした。「わからなくていい」文章があるのかと。なんなら、あえてわからないように書いた方がいいそうです。
宮沢賢治の「やまなし」に出てくるクラムボンのように、想像する楽しみが生まれるからです。
テーマ同様、読み手を引っ張らせる誘導力が大切ですね。CM前で結果を引っ張るテレビ番組に近いイメージ。
問題点3:視点が主観的すぎる
一番苦戦したのはここでした。
「自分の話だけど、もっと客観的に書かないとダメ」
「タイムスリップしている感覚を持って!」
自分の話なのに主観で書いてはダメというのが難しくて。厳密に言うと「現在の自分が過去の自分をのぞき込むイメージで書け」と言われました。
自分が当時したことをそのまま書いても、相手の好奇心を揺さぶらないのです。どうしても場面が狭く感じてしまいます。
でも「現在の自分が過去の自分を見る」という視点を持つと、「あの時たしかこうだったな…」と自然に思い起こせるので、より分析された描写ができます。
文に深みが出るので、ドラマチックな雰囲気が作れるはずです。
問題点を改善して書き直してみた(AFTER)
問題点をふまえて気を付けたポイントはこちら。
- 書き出しから気になる工夫をする
- 主語は最小限にする
- 基本的に相手に想像させる
- 終始過去の自分をのぞき込むイメージを持つ
鮮やかな緑が目前に広がる。古い自宅の縁側に座り、庭先をみつめた。短い足をぶらつかせ、辺りを見渡す視線はすぐ二本の松に定まる。一段高い丘の上、どっしりと立っていた。いつから存在していたか、私はよく知らない。だからこそ空想はふくらむ。静かに見守り、家族のすべてをこの松だけは知っているように感じた。後ろめたいことがあると、松の存在が怖くなり、いつものように眺められない。そんな第二の「お母さん」が庭にいるのだ。
玄関に小さなテーブルと座布団が用意されていたら、その日は植木屋さんの訪問だ。軽快にハサミを鳴らす二人の植木屋さんによって、松が形を変えていく。心なしか気持ちよさそう。窓からこっそり様子を眺めたり、家族のいる居間に戻ったりとその日は忙しい。植木屋さんが帰った後、縁側に座りゆっくりする。おかっぱ頭を風にゆらし、満足げな私を、松も同じようにみつめている気がした。(382文字)
最初に比べると、すっきり読みやすくなりましたよね。
「第二のお母さん」や「おかっぱ頭」など、幼少期をイメージさせる印象的なフレーズもちらほら。
このときゼミ内でコンペをしたのですが、ありがたいことに1位をいただきました。
厳しい教授にもこれでお褒めの言葉をいただいたので、自信をもってブログに掲載しています(笑)
これでも当時直した文章から少しだけリライトしたのですが、まだまだですね。精進します。
まとめ
- 書き出しはキャッチーに!答え(=テーマ)を言わない!
- 主語は最小限にする!
- 基本的に相手に想像させる!具体的な描写は不要!
小説・作文形式の文章で一番役立つ小ワザだと思います。
テクニックとまでは言えないと思いますが、少しでも読みやすい文章を書く際の参考になれば幸いです!私も最近忘れがちだったな…と気付けました。(笑)
これからも勉強したことを備忘録のようにまとめていきますのでよろしくお願いします~!
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